LTshopでは、リトアニアを旅して暮らしの中で育まれてきたかごをリサーチ、蒐集してきました。古くから女性が冬の手仕事としてつくってきた飾り編みのかご。イラさんとアナさん姉妹がつくる、ヘーゼルナッツのかご、松の根のかご。ギンタスさんが毎冬つくり続けている手のひらサイズの小さなかご。シギタスさんがつくる電話線を編んだかご…様々な素材のかごが揃います。
リトアニア語には”pinti”という「(かごを)編む」を意味する動詞があります。かごづくりが生活の中で大切な仕事であったことの証といえるのでしょう。リトアニアのかごは主に収穫に使う、丈夫なつくりの働くかご。キノコやジャガイモ、リンゴにハーブなど、日々の収穫にかごは欠かせない暮らしの道具です。その他にも薪を入れたり、毛糸を入れたり、生活の至るところで活躍します。民芸市では新調したかごに、市での戦利品を入れる買い物かごとして使うのが、地元っ子のスタイル。かごを片手に民芸市巡りを楽しみます。
イラさんとアナさんのかご
松の根は北欧独特の素材使いで、日本では例の見られない素材です。軽くて丈夫なことが特徴です。柳は栽培できるためかご編みの材料として購入できますが、ヘーゼルナッツや松の根は材料の採取から加工までを自らで手がけなければならず、手間暇もかかります。そういったかごづくりは今ではほとんど見られなくなってきてしまいました。かごづくりの名人だったおじいさんとお父さんの仕事をイラさんとアナさんは引き継いる貴重な存在です。
右側がお姉さんのイラさん、左側が妹さんのアナさん
首都ヴィリニュス郊外で養鶏や畑仕事をしながら、冬の農閑期の手仕事としてかごをつくっている
松の根は夏の間に採集する。リトアニアの森は砂地で横に長く伸びた根がスルスルと抜ける。まるでごぼうのよう
松の根の皮を削いで、薄く割いてゆく
割いた松の根は、丸めて水につけて乾かし、クセづけをする
器具を使ってハンドル部分を形つくる。力のいる作業
イラさんとアナさんのお父さんもおじいさんもかごつくりの名人だった
柳の飾り編みのかご
松の根のかごが「働くかご」ならば、柳の飾り編みのかごは室内装飾としてつくられています。他の国に類似例のない独特の編み方ですが、その起源や歴史は作っているおばあちゃんたちに聞いてもはっきりとわかりません。リトアニア人にとってはおばあちゃんの家にあったという共通した懐かしい記憶のあるかごのようです。素朴ながら光を感じる造形は、リトアニアの他の手工芸にも見られる特徴です。暗く長い冬を明るく過ごそうというインテリアの工夫から発生した表現ではないかと考察しています。
LTshopでは、リトアニア内にいくつかある大きなかご問屋さんの中でも親子で切り盛りしているマカレヴィチュス家からかごを仕入れています。マカレヴィチュスさんは、倉庫の裏の畑で柳を育て、地域の編み手のおばあちゃんに材料を供給し、かごを生産しています。作り手のおばあちゃんには90歳近い方もいるそうです。
かご用の柳の畑の様子
大きな倉庫はかごで埋め尽くされている
刈り取った後に蒸して皮を取り除き、整えた柳
ニュースの更新はインスタグラムでお知らせしています。
LTshopのインスタグラムはこちらから
Diary
News
See Other Items